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賃貸暮らしで実家の荷物を引き取るときの現実的な置き場所

実家の片付けは、実家で終わらない。段ボール12箱を軽トラで持ち帰った翌日、1LDKの玄関が塞がったまま朝を迎える——実家の荷物を賃貸のどこに置くか、置き場所を考え始めるのはこの段階になってからという人が、たぶんいちばん多い。

引き取る側の部屋には、たいてい余白がない。賃貸なら壁に穴も開けられないし、廊下が狭くて桐箪笥が入らないこともある。実家をどう片付けるかの情報は山ほどあるのに、引き取ったあとの置き場所の話だけがすっぽり抜けている。

この記事では、実家の荷物を引き取る「前」に賃貸側でやっておくことを、収納の実寸把握から外部保管の使い分けまで順番にまとめます。

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目次

実家の荷物、引き取ってから困るのは「置き場所」だった

実家側の情報だけが充実している構造

実家じまいの記事は、ほぼ例外なく実家で完結する。仕分けの3分類、不用品回収業者の選び方、遺品整理士の探し方、親の説得。どれも必要な情報で、実際このサイトでも扱っている。

ただ、そこで語られる「残す」という判断は、行き先が決まっていることを前提にしている。残すと決めた瞬間、その荷物は誰かの家に移動する。多くの場合、子世代の賃貸へ。

情報が薄いのは、書き手の多くが片付け業者や整理収納の専門家で、彼らの仕事が実家の玄関先で終わるからだ。トラックに積んだ先の6畳間までは追いかけない。結果として、引き取った側は誰にも相談できないまま段ボールと同居することになる。

検索する人が本当に知りたいこと

「実家の荷物をどこに置くか」で検索する人が求めているのは、収納テクニックの一覧ではない。もっと手前の判断だ。

具体的には、この3つに集約される。

自分の部屋にあと何箱入るのか。入らないぶんをどうするのか。そもそも引き取るべきなのか。

このうち最初の1つが数字で出れば、残り2つは自動的に決まる。逆に言えば、収納力を測らないまま引き取り判断をしているから詰まる。片付けの技術より先に、算数の問題として片付けたほうが早い。

なお、親と何を残すかを話す段階でつまずいているなら、実家の片付けを親に反対されたときの向き合い方のほうが先です。この記事は「残すものが決まったあと」の話に絞ります。

賃貸の収納力を先に数字で把握する

奥行と高さを測ってから引き取り量を決める

まずメジャーを持って自分の部屋を回る。測るのは3つ。押入れやクローゼットの幅・奥行・高さです。

一般的な押入れは奥行が深く、クローゼットは浅い。この差が効いてくる。押入れは衣装ケースを前後2列で置けることがあるのに対し、洋服用のクローゼットはハンガーパイプの下に1列分しか取れないことが多い。同じ「収納がある部屋」でも、入る量が倍近く変わります。

測ったら、箱数に換算する。段ボールのサイズはばらつくので、自分が使う箱1個の外寸を実際に測って基準にしてください。宅配型収納の専用ボックスを使うなら、そのサービスの公表寸法を基準にすると、あとで外部に預けるときに計算がそのまま使える。

出てくるのは「押入れ上段に6箱、下段に8箱、クローゼット下に4箱、合計18箱」といった数字です。ここから、いま自分の物が占めている箱数を引く。残った数が、実家から引き取れる上限になる。

この作業、30分もかからない。それでも、やらずに軽トラを出す人のほうが多い。

収納力を超えた荷物を引き取ると起きること

上限を超えて持ち帰ると、荷物は収納の外に出る。壁際に積まれ、次にクローゼットの前を塞ぎ、最後に部屋の中央に島ができる。

問題は場所だけではない。段ボールに入ったまま床置きされた荷物は、開封されないまま年を越す。中身が思い出せなくなり、思い出せないから開けられず、開けないから捨てる判断もできない。実家から持ち帰った箱が、そのまま「第二の実家」になっていく。

賃貸の場合、これに退去のコストが乗る。次の引越しで荷造りする対象が増え、運搬費が上がり、場合によっては引越し先の広さの条件まで変わってしまう。実家の片付けが終わった気になっていたのに、荷物の総量は減っていない。移動しただけです。

先に上限を出しておくと、実家での仕分けの精度も上がる。「うちに入るのは12箱だから、この中から12箱ぶんを選ぶ」という基準で仕分けられるようになる。選ぶ作業は、諦める作業より気持ちが軽い。母と食器を並べながら「これは持って帰る」と決めていく時間が、片付けの中でいちばん記憶に残ったという話もよく聞きます。

賃貸特有の3つの壁

原状回復を気にして収納家具を選べない

賃貸で収納を増やそうとすると、まず壁の制約にぶつかる。壁に棚を固定するタイプの収納は、ビス穴が原状回復の対象になり得ます。突っ張り式であれば穴は開かないものの、天井の下地が弱い物件では固定が効かない。

通常の使用による損耗と、借主の故意・過失による損傷を区別する考え方は一般に知られていますが、実際にどこまでが借主負担になるかは契約書の特約次第で変わります。判断は契約書と管理会社への確認が優先で、ここで断定的な線引きはしません。

現実的な運用としては、穴を開けない前提で選ぶことになる。突っ張り棚、置くだけのラック、既存収納の内部で完結する衣装ケース。この範囲内でどれだけ入るかが、賃貸の実質的な収納力です。

搬入経路の壁

見落とされやすいのが、部屋に「入るかどうか」以前の問題。エレベーターなしの3階、幅75cmの共用廊下、途中で90度曲がる階段。実家にあった箪笥や食器棚は、こういう経路を想定して作られていません。

搬入で確認するのは、玄関ドアの有効開口、廊下の幅、階段の踊り場の広さ、部屋の入口の高さ。特に階段の折り返しは、家具の対角線の長さが効いてくる場所です。ここが通らないと、荷物は玄関前で行き場を失う。

大型家具を引き取る予定があるなら、実家で「持って帰る」と決める前に、自分の部屋までの経路を測っておく。当日になって運べないと分かったときの処理費用と徒労は、事前の15分で避けられます。

湿気・虫・防犯という保管リスク

賃貸は保管環境としてクセがある。北側の1階、風呂場に面した壁、換気の悪いクローゼット。実家の広い納戸で問題なく保管されていたものが、賃貸の押入れではカビることがある。

特に注意したいのが、紙と布と木です。アルバム、掛け軸、着物、桐箱に入った食器。実家では乾燥した蔵や納戸にあったものが、湿度の高い部屋に移った途端に傷みます。実家じまいで残すと決めたのは、たいてい捨てられないものだから、傷ませると取り返しがつかない。

もう一つ、ベランダや共用部への荷物のはみ出しは、多くの物件で管理規約や賃貸借契約で制限されています。避難経路の確保という理由があるため、単純にやらない領域です。

荷物を「置く場所」で仕分ける発想

頻度で分ける

実家の荷物を「捨てる・残す」で分けるのは実家でやること。引き取ったあとに必要なのは、別の軸です。取り出す頻度で分ける。

年に1回も開けないもの——アルバム、卒業証書、故人の書、記念品。これは収納の奥、あるいは部屋の外。

年に数回のもの——季節の食器、来客用の布団、法事で使うもの。これは手前か、出し入れしやすい高さ。

月に1回以上のもの——実際に日常で使う道具。これは収納の一等地。

引き取った荷物の大半は最初のグループに入ります。つまり、賃貸のいちばん貴重な収納スペースを、年に1回も開けない箱が占めることになる。ここに気づくと、次の判断が出てきます。

賃貸の中と外の線引き

年に1回も開けないなら、部屋の中に置く必然性は薄い。それでも部屋に置き続けるのは、外に預けるという選択肢を検討していないからです。

線引きの基準はシンプルにできます。半年以内に触る予定があるかどうか。予定があるなら部屋の中、ないなら外部保管の候補。

もう一つの軸が、取り出しの手間です。外部に預けると、思い立ってすぐには見られない。宅配型なら申し込みから手元に届くまで日数がかかりますし、トランクルームなら移動時間がかかる。だから「急に必要になる可能性があるか」も一緒に考える。

書類関係、特に相続や不動産に関わるものは、この基準では部屋の中です。手続きの途中で急に原本が必要になることがあるので、外部に出さない。逆に、思い出のアルバムや飾らない置物は、外に出しても困る場面がほとんどない。

トランクルームと宅配型収納を賃貸側の目線で比較する

外部保管には大きく2種類あります。自分で荷物を運び込んで借りたスペースに置くトランクルーム(レンタル収納・屋内型/屋外コンテナ型)と、送った箱を倉庫で預かってもらう宅配型収納。同じ「預ける」でも、賃貸暮らしから見ると使い勝手が別物です。

搬入経路が狭い部屋には宅配型収納が向く

宅配型収納は、専用の箱に荷物を詰めて集荷してもらう仕組みです。部屋から運び出す手段が宅配便になるので、車を持っていなくても成立します。エレベーターのないアパートでも、玄関先までドライバーが来る。

賃貸暮らしとの相性がいいのは、この「車がいらない」点。トランクルームは自分で運ぶ前提なので、車がないと段ボール数箱の移動でも一苦労になります。

もう一つの利点が、箱単位で預けられること。1箱から始められるサービスが多い。実家から引き取った荷物のうち「入りきらない5箱だけ」といった規模で使えます。

弱点もはっきりしていて、箱に入らないものは預けられません。桐箪笥も、掛け軸の長い箱も、自転車も無理。サービスによっては大型品を扱うプランもありますが、基本は箱に入る範囲です。取り出しも即時ではありません。

大型家具や出し入れが多いものはトランクルーム

トランクルームは借りたスペースに何を置くかが自由です。家具でも、スキー板でも、まとめて置ける。実家から引き取った箪笥や仏具の入った大きな箱を、部屋に入れずに保管したいならこちら。

出し入れの頻度が高いものにも向きます。24時間出入りできる施設なら、必要なときに取りに行ける。宅配型のように申し込んで待つ必要がない。

一方で、荷物を運ぶのは自分です。車の手配、駐車スペース、台車の有無、施設内にエレベーターがあるか。屋外コンテナ型は空調がない場合が多く、紙・布・木の保管には向かないことがあります。契約前に、その施設が空調・防湿を備えているかを確認してください。

比較表:賃貸暮らしの視点で見た向き不向き

見る観点トランクルーム宅配型収納
荷物の運び方自分で運ぶ(車が要ることが多い)集荷・配送(玄関先で完結)
車がない場合別途手配が必要不要
搬入経路が狭い部屋部屋から出す手間は同じ箱単位なので負担が小さい
預けられるサイズスペース内なら家具も可原則、専用ボックスに入るもの
最小単位区画単位(0.5畳〜が目安)箱1個から可能なサービスが多い
取り出しの速さ営業時間内なら当日申し込みから配送までの日数が必要
空調・防湿施設により有無が分かれる屋内倉庫での保管が一般的
中身の把握自分で管理する写真での一覧表示があるサービスも
向いている荷物家具、大型品、頻繁に使うもの衣類、書類、アルバム、季節物

料金は各社・地域・時期で変わるため、この表には入れていません。具体的な金額は必ず公式サイトの現在の表示で確認してください。比較の考え方は宅配型トランクルームを比較してわかった選び方の分かれ目にまとめています。契約後に後悔しやすい点はトランクルームの口コミ・評判の読み方と後悔しやすいポイントを先に読んでおくと避けやすい。

賃貸で使える収納家具とデッドスペースの活用

押入れ・クローゼットの奥行を活かす

押入れの奥行は、たいていの衣装ケースより深い。ここに浅いケースだけを並べると、奥に空洞ができます。この空洞が、賃貸で見つかるいちばん大きなデッドスペースです。

対処法は2つ。奥行に合わせた深いケースを使うか、キャスター付きの台に載せて前後2列にするか。後者は奥のものを引き出せるので、年に1回開ける箱を奥に入れても取り出せます。

高さも同じで、押入れの上段は天井までの間に空きが出やすい。突っ張り式の棚を1枚足すだけで、置ける箱数が変わります。ただし耐荷重は必ず確認してください。実家から来る荷物は、食器や本など重いものが多い。

クローゼットは逆に奥行が浅いぶん、高さで稼ぎます。ハンガーパイプの下に引き出しを積む、上の棚に季節物を上げる。ここでも重いものは下、という原則は守る。

ベランダ・玄関・ベッド下

ベランダは収納に使いたくなる場所ですが、前述のとおり避難経路の確保のため制限があるのが一般的です。管理規約を確認して、認められていない場合は使わない。認められていても、屋外なので紫外線と雨で傷みます。実家から引き取った大事なものを置く場所ではありません。

玄関は、シューズボックスの上と扉裏。ただし、実家の荷物を玄関に置くと、日常の動線が真っ先に潰れます。ここは短期の一時置きまで。

ベッド下は、賃貸で最後に残っているまとまった面積です。高さ15〜20cm程度の薄型ケースが入ることが多い。ただし床に近く、ホコリと湿気を受けやすい。アルバムや衣類を入れるなら、除湿剤と密閉性のあるケースをセットで考えてください。

デッドスペース活用で増える収納量は、現実的には数箱ぶんです。引き取り量がそれを大きく超えるなら、工夫では埋まりません。外部保管を先に決めるほうが早い。

収納方法の選び方

荷物の性質・搬入経路・費用感から選ぶ手順

ここまでを、実行する順番に並べます。

  1. 賃貸側の収納を測り、空き箱数を出す
  2. 実家から持ち帰る候補を、その箱数に収まるよう選ぶ
  3. 収まらないぶんについて、捨てる・親族に渡す・外部に預けるを検討する
  4. 外部に預けるなら、箱に入るか/車があるか/どのくらいの頻度で取り出すかで方式を選ぶ
  5. 候補サービスの公式サイトで、料金・保管期間・補償・取り出し日数を確認する
  6. 少量から試し、運用が回るか見てから預ける量を増やす

順番が大事なのは、1と2を飛ばすと3以降が全部ずれるからです。

方式の選び方は、判断が3つに集約されます。箱に入らない大型品があるならトランクルーム。車がなく箱だけならば宅配型。両方あるなら併用。

費用感については、金額が各社・時期で変わるため、この記事では具体的な数字を書きません。確認するときは、月額だけでなく初期費用、最低利用期間、取り出し時の送料、解約時の費用まで見てください。月額だけを比べると、取り出しのたびに送料がかかるサービスで想定を超えることがあります。

賃貸の受け皿として検討する

宅配型収納の代表的なサービスとして、寺田倉庫が運営するサマリーポケットとminikuraがあります。どちらも箱を送って倉庫で預かってもらう方式で、車がなくても使えます。

この記事の筆者はこれらのサービスを契約していないため、使用感については書きません。公開情報として確認できる範囲では、いずれもプランによって預けられるものの条件、保管品の撮影の有無、取り出しにかかる日数が異なります。料金・補償・保管条件は必ず各社の公式サイトで現在の表示を確認してください。

検討するときに見るポイントを挙げておきます。プランごとに写真撮影の有無が違うこと。取り出しは箱単位かアイテム単位か。最低保管期間があるか。空調・温湿度管理の条件。補償の上限額。この5つは、実家の荷物のように「代わりがきかないもの」を預けるときに効いてきます。

不用品として処分するほうを検討している場合は、不用品回収業者を選ぶ前に確認したい3つのこと不用品回収を頼んで後悔した、ある実家じまいの話も参照してください。

よくある質問

賃貸で実家の荷物を全部引き取るのは現実的か

住まいの広さによりますが、一般的な単身〜二人暮らしの賃貸で、実家1軒ぶんの残置物を全部引き取るのは難しいことが多いです。実家の収納面積は賃貸の何倍もあるためで、意志や工夫の問題ではありません。

現実的なのは、部屋に入る量を先に決め、それを超えるぶんについて外部保管・親族での分担・処分のどれかを選ぶことです。兄弟姉妹で分ける話し合いが必要になる場面もあります。その進め方は実家じまいの親族会議でもめないために、ある家族がやったこと形見分けでもめた姉妹が、最後に選んだ落とし所にまとめています。

搬入経路が狭い部屋でも大型家具は運べるか

事前に測れば判断できます。玄関の有効開口、廊下の幅、階段の折り返し、部屋の入口。この4か所を測り、家具の幅・奥行・高さ・対角線と比べてください。

通らない場合、引越し業者に相談すると窓からの吊り上げ搬入という手段が提案されることがありますが、追加費用が発生し、物件によっては実施できません。費用と手間を考えると、大型家具はトランクルームで保管するか、引き取り自体を見送るという判断も選択肢に入ります。

トランクルームと宅配型収納を併用してもよいか

問題ありません。実家の荷物は性質がばらばらなので、むしろ分けたほうが合理的な場面が多い。

分け方の目安は、箪笥・仏壇・大型の額といった箱に入らないものはトランクルーム、アルバム・衣類・書類・季節物は宅配型。ただし契約が2つになるぶん固定費は増えるので、それぞれの量が本当に必要かを先に確認してください。片方に寄せられるなら、そのほうが管理は楽です。

まとめ:賃貸の置き場所を先に決めてから実家の荷物を引き取る

実家の片付けでいちばん抜けやすいのが、引き取ったあとの置き場所です。実家をどう空けるかの情報は多くても、子世代の賃貸に何箱入るかは誰も教えてくれない。

やることは順番が決まっています。メジャーで測る。箱数を出す。入るぶんだけ選ぶ。入らないぶんの行き先を決める。この4つを実家に行く前に済ませておくと、当日の判断が驚くほど速くなります。

賃貸には賃貸の制約がある。壁に穴を開けられない、廊下が狭い、湿気が回りやすい。この制約を先に把握しておけば、外部保管という選択肢も設計の一部になります。

実家の荷物は、捨てる/捨てないの二択ではありません。置き場所を決める話です。押入れの奥でも、倉庫の棚の上でもいい。ちゃんとした場所が決まっていれば、段ボールは玄関を塞がずに済む。

なお、相続に関わる財産の扱いや税務の判断は、この記事の範囲外です。詳細は税理士・司法書士等の専門家に確認してください。

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