MENU

実家じまいの必要書類と手続きチェックリスト

実家じまいでつまずくのは、片付けそのものより手続きのほうです。押し入れから出てきた古い通帳、仏壇の引き出しに入っていた権利証らしき封筒、名前の知らない保険会社からの郵便。捨てていいのか取っておくべきか判断できず、段ボールに「保留」と書いて積み上げていく——この状態が、作業を止めます。

書類には、失うと再発行に時間と費用がかかるものと、そもそも再発行できないものがあります。先に「何が要るか」を把握してから片付けに入ると、現場での判断が速くなります。この記事は、実家じまいで必要になる書類を分野ごとに整理し、取得先・期間・費用の目安まで一本にまとめたものです。

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれます。

税務・法律の個別判断(遺産分割の可否、相続税の計算、控除の適用など)はこの記事では扱いません。判断が必要な場面は、司法書士・税理士・弁護士に確認してください。

目次

実家じまいの手続きで最初に確認すべきこと

実家じまいの流れ全体像

実家じまいは、おおまかに5つの段階を通ります。

  1. 相続人と遺言の有無を確定する
  2. 不動産・金融資産の全体像を把握する
  3. 遺産分割の方針を決める
  4. 相続登記で名義を変える
  5. 片付け・解約・売却または活用を進める

順番の意味は明確です。名義が変わっていない不動産は、原則として売却できません。売却を先に考えても、登記が終わっていなければ契約に進めない。そして登記には相続人全員の書類が要る。つまり、書類集めが最初の実務です。

片付けだけは並行して進められます。ただし後述するとおり、書類の仕分けを片付けと同時にやること。ここを分けると二度手間になります。

手続きが必要になるタイミング

期限のある手続きから逆算すると、動く順番が見えます。

手続き期限の目安起算点
死亡届の提出7日以内死亡を知った日
相続放棄・限定承認の申述3か月以内自己のために相続の開始があったことを知った時
所得税の準確定申告4か月以内同上
相続税の申告・納付10か月以内同上
相続登記の申請3年以内所有権を取得したことを知った日

(出典:法務省・国税庁の公表情報。制度の詳細と個別の適用可否は司法書士・税理士に確認してください)

最初の3か月が実質的な山場です。相続放棄を選ぶ可能性が少しでもあるなら、その期間に負債を含めた財産の全体像をつかむ必要があります。片付けの最中に借入の督促状や連帯保証の契約書が出てくるケースがあり、これは捨ててはいけない書類の代表です。

親が存命で、これから準備する段階の人は、順番が違います。まず必要なのは家族の合意形成で、書類はその後。話の進め方は実家じまいの親族会議でもめないために、ある家族がやったことにまとめています。

実家じまいに必要な書類一覧

相続・登記関係の書類

相続登記の土台になる部分です。

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の住民票
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印を押したもの)
  • 遺言書(ある場合。自筆証書は家庭裁判所の検認が必要なことがある)
  • 固定資産評価証明書
  • 登記事項証明書(登記簿謄本)

手間がかかるのは戸籍です。被相続人が転籍を繰り返していると、その都度別の自治体へ請求することになります。2024年3月から戸籍の広域交付が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でもまとめて請求できるようになりました。ただし請求できる人の範囲や取得できる戸籍の種類に条件があるため、窓口で事前に確認してください。

不動産売却関係の書類

売却まで進める場合に必要になるものです。

  • 登記済権利証または登記識別情報通知
  • 土地の測量図・境界確認書
  • 建築確認済証・検査済証
  • 固定資産税納税通知書
  • 建物の図面、設備の仕様書
  • 耐震診断報告書、アスベスト調査報告書(ある場合)
  • マンションの場合は管理規約、長期修繕計画、管理費・修繕積立金の額がわかる書類

権利証は再発行されません。紛失しても司法書士による本人確認情報の作成などで売却はできますが、追加の費用と手間がかかります。押し入れや仏壇まわりを片付けるとき、厚紙の表紙がついた冊子や「登記済」の朱印がある書類は無条件で保留箱へ。

境界確認書がないと、売却前に測量が必要になることがあります。隣地所有者の立ち会いが要るため、時間がかかりやすい項目です。

行政手続き関係の書類

  • 死亡届、死体火葬許可申請書
  • 世帯主変更届(該当する場合)
  • 国民健康保険証・後期高齢者医療被保険者証の返却
  • 介護保険被保険者証の返却
  • 年金受給権者死亡届、未支給年金請求書
  • 埋葬料・葬祭費の申請書類
  • 固定資産税の納税義務者変更に関する届出

年金と健康保険は、放置すると過払い分の返還が発生することがあります。市区町村の窓口に「おくやみコーナー」が設けられている自治体では、複数の手続きをまとめて案内してもらえます。事前予約制のところが多いので、電話で確認してから出向くと一度で済みます。

金融・保険関係の書類

  • 預貯金通帳、キャッシュカード
  • 残高証明書(金融機関発行)
  • 取引履歴明細(相続税申告や分割協議で必要になることがある)
  • 証券口座の取引報告書、残高報告書
  • 生命保険証券、共済の加入証書
  • 火災保険・地震保険の証券
  • 借入契約書、クレジットカード、ローン残高がわかる書類

火災保険は見落としやすい項目です。家に人が住まなくなると契約条件が変わる場合があり、保険会社への連絡が必要になります。空き家のまま置くつもりなら、この確認は早めに。放置した場合に何が起きるかは実家を空き家のまま放置して後悔した家族の話で触れています。

古い通帳は、口座が解約済みでも捨てないでおきます。取引履歴をさかのぼる必要が出たとき、口座番号がわかるだけで金融機関への照会が早くなります。

ライフライン解約関係の書類

  • 電気・ガス・水道の検針票または請求書(お客様番号が必要)
  • NHK受信契約の関係書類
  • 固定電話、インターネット回線の契約書類
  • 新聞、宅配サービス、定期購入の明細
  • ケーブルテレビ、警備会社の契約書

お客様番号さえわかれば電話やWebで完結するものがほとんどです。検針票は壁に貼ってあったり、冷蔵庫に磁石で留まっていたりします。片付けの初日に台所まわりを回って、この手の紙を一箇所に集めておくと後が楽になります。

注意したいのは解約の順番で、電気と水道は片付け作業中に使います。照明がつかないと押し入れの奥が見えず、掃除に水も要る。解約は荷物を出し終えてからにしてください。ガスは作業に使わないことが多いので、先に止めて構いません。

書類の取得先と取得方法

法務局で取得する書類

登記事項証明書と公図・地積測量図は、法務局の窓口、郵送、オンライン(登記・供託オンライン申請システム)のいずれでも請求できます。

登記事項証明書は全国どこの法務局でも取得できます。不動産の所在地を管轄する法務局へ行く必要はありません。手数料は窓口請求で1通600円、オンライン請求・窓口受取で480円、オンライン請求・郵送受取で500円です(法務省の公表する手数料・2026年9月23日時点。改定される場合があるため申請前に確認してください)。

請求には地番・家屋番号が必要で、これは住所表示とは異なります。固定資産税納税通知書に記載されているので、それを手元に置いてから請求してください。見つからない場合は、法務局の窓口で住所から地番を調べてもらえます。

市区町村役場で取得する書類

戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、住民票、印鑑証明書、固定資産評価証明書はここで取ります。

戸籍は前述の広域交付制度により、本籍地以外でも請求できるようになりました。ただし請求できるのは本人・配偶者・直系の親族などに限られ、代理人や兄弟姉妹の分は従来どおり本籍地への請求が必要です。郵送請求の場合、定額小為替を同封します。

固定資産評価証明書は、不動産がある市区町村で取得します。実家が遠方にあるなら郵送請求になり、往復で2週間ほど見ておくと安全です。

マイナンバーカードがあれば、住民票と印鑑証明書はコンビニ交付が使えます。相続人が各地に散らばっている場合、これを伝えておくだけで書類集めの速度が変わります。

金融機関で取得する書類

残高証明書と取引履歴は、相続人であることを証明したうえで各金融機関に請求します。必要書類は金融機関ごとに違うので、まず電話で確認するのが確実です。

口座の存在自体がわからない場合は、通帳・カード・郵便物・カレンダーやタオルといったノベルティを手がかりにします。取引のある金融機関は、なぜか粗品が家に残っているものです。

金融機関に死亡の連絡をすると口座は凍結され、公共料金の引き落としも止まります。ライフラインの解約や支払い方法の変更を先に済ませてから連絡すると、未払いの督促を受けずに済みます。

相続登記の義務化と対応スケジュール

2024年4月からの相続登記義務化の概要

2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した相続人は、所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務づけられました。施行日より前に発生した相続も対象で、その場合は2027年3月31日までが期限です(法務省の公表情報による)。

遺産分割がまとまらず期限に間に合わないときのために、相続人申告登記という簡易な手続きが設けられています。登記官に対して相続が開始したことと自分が相続人であることを申し出るもので、これをすれば申請義務を果たしたものとして扱われます。ただし所有権が移転するわけではないため、売却するには改めて登記が必要です。

期限を過ぎた場合の過料

正当な理由なく期限内に申請しなかった場合、10万円以下の過料の対象となります。「正当な理由」に何が当たるかは個別の事情によるため、間に合わない見込みがあるなら早い段階で法務局または司法書士に相談してください。

専門家に相談すべきタイミング

自分で登記申請をする人もいますが、次のような状況では専門家に任せたほうが結果的に早く安く収まります。

  • 相続人が4人以上、または面識のない相続人がいる
  • 被相続人が何度も転籍していて戸籍が追いにくい
  • 数次相続(相続手続き中に相続人が亡くなった)が起きている
  • 不動産が複数の市区町村にまたがる
  • 遺言書の解釈や遺留分が論点になりそう
  • 未登記の建物がある、または登記内容と現況が違う

相談先の目安は、登記なら司法書士、相続税なら税理士、相続人間で争いがあるなら弁護士です。どこに行けばいいか判断できないときは、司法書士会や税理士会の無料相談会が入口として使えます。

実家じまいの手続きチェックリスト

片付けの現場で使える形にまとめます。

相続開始直後にやること

  • 死亡届の提出(7日以内)
  • 火葬許可・埋葬許可の取得
  • 健康保険証・介護保険証の返却
  • 年金受給停止の手続き
  • 遺言書の有無を確認(公証役場の遺言検索、法務局の保管制度の照会)
  • 相続人の範囲を戸籍で確定
  • 負債の有無を確認(督促状、借入契約書、保証契約)
  • 通帳・保険証券・権利証を一箇所に集める

最後の項目が重要です。片付けの本格作業に入る前に、家中を回って紙類だけ集める日を1日とってください。この日に見つかるものが、以降の手続きの速度を決めます。

片付け・売却前にやること

  • 「重要書類」「保留」「処分可」の3箱を用意し、判断を後回しにできる仕組みを作る
  • 現金・貴金属・骨董品が出てきた場合は相続人に共有(勝手に処分しない)
  • 家財の処分方法を決める(自力・買取・回収業者)
  • 回収業者の許可証を確認する
  • 見積もりを複数社から取る
  • 写真・アルバムの扱いを家族で決める
  • 残す荷物の置き場所を確保する

判断がつかないものを「保留」に入れられるようにしておくと、現場が止まりません。迷った瞬間に議論が始まると、その日の作業はそこで終わります。

業者に頼む部分については、見積もりの比べ方を実家じまいの見積もりを3社取った家族が気づいた違いに、許可証の確認方法を不用品回収業者を選ぶ前に確認したい3つのことにまとめています。自力でどこまでやるかの線引きは遺品整理を自分でやる手順と業者に頼む境目が参考になります。

写真やアルバムは処分の判断が最も割れる品目です。データ化して現物を減らす方法は実家の写真・アルバムをデータ化するサービス比較に、自宅に置き場所がない場合の選択肢は賃貸暮らしで実家の荷物を引き取るときの現実的な置き場所と宅配型トランクルームを比較してわかった選び方の分かれ目に書いています。

荷物の一時預け先を検討するなら、契約条件の確認を先に。

解約・名義変更でやること

  • 電気・ガス・水道(作業完了後)
  • NHK、固定電話、インターネット回線
  • 新聞、定期購入、サブスクリプション
  • クレジットカードの解約
  • 火災保険の名義変更または解約(空き家にする場合は条件を確認)
  • 固定資産税の納税義務者変更
  • 郵便物の転送届(日本郵便・1年間)
  • 相続登記の申請

転送届は早めに出しておくと、把握していなかった契約や請求が郵便で見つかります。実家に人がいない期間の郵便物は、そのまま情報源になります。

手続きにかかる期間と費用の目安

書類取得にかかる期間の目安

書類窓口郵送請求の目安
戸籍謄本・除籍謄本即日〜数日1〜2週間
住民票・印鑑証明書即日1週間程度
固定資産評価証明書即日1〜2週間
登記事項証明書即日数日(オンライン請求)
残高証明書—2週間前後(金融機関による)

戸籍を出生までさかのぼる作業は、1か月以上かかることがあります。転籍が多い人ほど長い。相続人が多い案件では、全員の印鑑証明書がそろうまでにさらに時間がかかります。

このため、相続税の申告が必要になる可能性があるなら、書類集めは相続開始から1か月以内に着手したほうが安全です。10か月の期限は、実務では前半が書類集めで消えます。

専門家への依頼費用の相場(当サイト調べ・2026年9月23日時点)

依頼内容費用の目安備考
相続登記(司法書士)7万円〜15万円登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)は別途
戸籍収集の代行2万円〜5万円通数や難易度で変動
遺産分割協議書の作成3万円〜10万円内容の複雑さによる
相続税申告(税理士)遺産総額の0.5%〜1%最低報酬を設定する事務所が多い

(複数の士業事務所が公開している報酬表を当サイトで比較したもの・2026年9月23日時点。事務所ごとに料金体系が異なるため、依頼前に必ず見積もりを取ってください)

書類そのものの取得費用は、戸籍謄本450円、除籍謄本・改製原戸籍750円、住民票・印鑑証明書が1通300円前後(自治体により異なる)、登記事項証明書が前述の600円。相続人が3人、不動産1件の標準的なケースで、実費は合計1万円前後に収まることが多いです。

実家じまいの手続きでよくある質問

Q. 遺産分割が決まっていなくても、相続登記の義務は果たせますか。
相続人申告登記という手続きがあります。相続人であることを法務局に申し出るもので、これにより申請義務を履行したものとして扱われます。ただし所有権は移転しないため、売却するには別途、分割協議を経た登記が必要です。

Q. 権利証が見つかりません。売却できますか。
権利証(登記識別情報)は再発行されません。ただし売却が不可能になるわけではなく、司法書士による本人確認情報の作成など代替手段があります。追加費用がかかるため、まず家の中を徹底的に探してください。金融機関の貸金庫、仏壇、タンスの引き出しの底が定番の保管場所です。

Q. 相続人の一人と連絡が取れません。
戸籍の附票で住所をたどるのが最初の手です。それでも所在がつかめない場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる方法があります。相続人全員の同意なしに遺産分割はできないため、早い段階で弁護士か司法書士に相談してください。

Q. 片付け中に現金や貴金属が出てきました。どうすればいいですか。
その場で処分も分配もしないでください。相続財産に当たります。写真を撮り、日付と発見場所を記録して相続人全員に共有します。作業前にこのルールを共有しておくと、後で疑われる事態を避けられます。

Q. 空き家のまま置いておくとどうなりますか。
固定資産税がかかり続けます。管理が不十分だと「特定空家等」に指定され、住宅用地の課税標準の特例が適用されなくなる場合があります。遠方で通えないなら管理サービスという選択肢もあります(空き家管理サービスの選び方と料金相場の比較)。

Q. 親がまだ元気です。今のうちにできることは。
権利証・保険証券・通帳の保管場所を聞いておくこと、加入している金融機関と保険会社の一覧を作っておくことです。これだけで後の手間が大きく減ります。ただし切り出し方を誤ると話が進まなくなるので、進め方は実家の片付けを親に反対されたときの向き合い方を参考にしてください。

Q. 形見の品の分け方でもめています。
金銭価値と思い入れが一致しない品ほど難しくなります。先に手順を決めておく方法を形見分けでもめた姉妹が、最後に選んだ落とし所で紹介しています。

まとめ:必要書類を先に揃えると片付けが進む

実家じまいが止まる原因の多くは、判断材料が手元にないことです。この書類は要るのか、この口座は生きているのか、名義はどうなっているのか。わからないまま片付けを進めると、保留の箱だけが増えていきます。

先に動くべきは次の3つです。

  1. 家中の紙類を1日かけて集め、重要書類・保留・処分可の3つに分ける
  2. 戸籍の収集に着手する(最も時間がかかるため)
  3. 期限のある手続き(3か月・4か月・10か月・3年)をカレンダーに書き込む

書類がそろうと、片付けの判断が速くなります。この通帳は解約済み、この保険はもう終わっている、この家は誰の名義になる。決まっていく感覚が出てくると、作業そのものが進み始めます。押し入れを一つ空け終えたとき、家族で「ここ、こんなに広かったんだ」と笑えるくらいには。

制度や税金の個別判断は、司法書士・税理士・弁護士に確認してください。この記事は書類と段取りの地図であって、判断の代わりにはなりません。地図があるだけでも、最初の一歩は踏み出しやすくなります。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次
閉じる