離婚のとき行われることのある不動産の任意売却とは
離婚したいけれど、不動産ローンが残っている！ 支払いが滞りそうで、このまま住めないかも……。
そんなときに使われる手段が、「任意売却」です。今回は、任意売却の内容や方法についてご紹介します。
まず任意売却とは何かということですが、実は、任意売却は離婚していない人でも利用することがあります。離婚とは関係なく、ローン支払いが困難になってきたけれども、なんとかダメージを少なく済ませたい！ と考える人たちのための、救済手段のひとつです。不動産ローンが支払い困難になることは、離婚に伴って起ることもままありますので、離婚するカップルが任意売却を行うことも少なくないのです。
住宅ローンが支払えなくなった場合、ローンの貸主である銀行などの金融機関は裁判所を通して、いわゆる担保になっている土地・建物を差し押さえ、競売にかけることができます。金融機関は、競売の利益からローンの残債を回収するわけですが、土地や家は売られてしまうわけですから、債務者が住み続けるわけにはいきません。
競売はいわばオークションですから、相場よりも低い金額で落札されることが多く、土地や建物を競売にかけても、なお多額の残債が残り、家に住めなくなった後も債務者が返済しなくてはならない……というデメリットがあります。
しかも、競売のために物件の周辺を不動産業者が下見に訪れることも多いので、近所にその家が競売にかけられていることが、比較的バレてしまうとも言われています。世間体の面からも避けたいと考える人は多いでしょう。
そこで登場するのが、任意売却です。
任意売却は、任意売却の資格と知識を持った専門コンサルタントが不動産売却を媒介し、債権者（お金を貸した金融機関）と債務者（お金を借りた人）との間を取り持って、競売を避けるという方法。
競売ではなく通常の不動産売買によって、不動産の売却を行いますので、価格も競売に比べて高く売れることがほとんどです。物件が高く売れれば、債権者が回収できる金額も多くなりますし、ローン残高との差額が小さいので、債務者に残される可能性のあるローン残債の金額も小さくなります。競売ではありませんから、複数の不動産業者にうろつかれることもなく、ご近所にバレないように売却活動をすることも可能です。
競売は裁判所の命令によって行われますので、強制力がありますが、任意売却は裁判所が介入しませんので、引っ越しの時期や引き渡し条件に融通をきかせることができ、法的措置を取られることもまずありません。
また、競売にしても任意売却にしても、不動産の売却によって返済しきれなかったローンの残債は債務者が引き続き返済しなくてはなりませんが、任意売却の場合は債務者の経済状況により、専門家が仲介することで、ムリの少ない少額の返済計画が立てられるところも、大きなメリットとなります。
不動産の売却処分は、離婚手続きの前に行っておくのが望ましいと言われています。もし任意売却を考えているなら、まずは早めに、資格のある不動産業者に相談してみましょう。